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アフターダーク

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 「アフターダーク」 村上春樹 (講談社文庫)


 大学生の高橋とマリ、マリの姉でひたすら眠り続けるエリの、一夜を描いた物語です。
 2004年に出た村上春樹の11作目の長編小説です。「1Q84」の前の作品です。

 2006年に講談社文庫から出ていましたが、私は今年ようやく読みました。
 各章の初めにアナログ時計があって、それがいつの出来事なのかを示しています。


アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09/16
  • メディア: ペーパーバック



 夜の11時56分のデニーズで、高橋が浅井マリに声をかける場面から始まります。
 「君は浅井エリの妹じゃない?」 これがきっかけで、二人は関わり始めます。

 一方、姉の浅井エリの部屋では、エリがひたすら眠り続けています。
 そこにはエリを見つめる男がいますが、彼の顔は半透明のマスクに覆われています。

 マリは、突然大柄な女に呼ばれ、ホテル「アルファヴィル」に連れていかれ・・・
 姉のエリは、いつのまにかテレビの中に閉じ込められていて・・・

 読み終わった今も、モヤモヤ感いっぱいで、頭の中がスッキリしません。
 分からないことだらけです。特に、眠り続ける美女浅井エリに関しては。

 「あの顔のない男はいったい誰だったのだろう? 彼は浅井エリに何をしたのだろ
 う? そして彼はどこに行ってしまったのだろう?」(P224)

 わざわざそう書いてあるから、最後まで読めばそれが分かると思っていました。
 しかし、最後まで分かりません。(ひょっとして、分かる人には分かる?)

 顔のない男や、エリの置かれた状況については、高橋が色々と示唆しています。
 特にP138からP145を読むと、高橋が何かを知っているはずだと思えてきます。

 しかし、はっきりしたことは分かりません。
 エリの部屋と白川の部屋が似ていると書いてあって、余計に分からなくなります。

 もう少し時間をかけて、この小説の意味を考えてみる必要があるかもしれません。
 各自が自分の解釈を、謎解きみたいに探す面白さが、この作品にはありそうです。

 この作品は、レビューを見てみると、好きな人と嫌いな人が明確に分かれています。
 私は、他の村上作品とは、なんとなく雰囲気が違うように思いました。

 ただ、テーマにおいては、「スプートニクの恋人」と似ているような気がしました。
 こちら側とあちら側、見ている側と見られている側、閉じ込められた女・・・

 さいごに。(今年は美ヶ原へ)

 毎年夏休みの終わりころ、家族3人でキャンプに行きます。
 今年は、美ヶ原の近くのキャンプ場で、コテージを借ります。とても楽しみです。

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